2.26騒動のあとで(TOKYO)

REPORT【2020.02.27】

2月27日は、何も知らずに新橋演舞場に『八つ墓村』昼の部を観に行った。終演後、2度目のカーテンコールがあることに少し驚いていると、舞台上の水谷八重子が「六十ン年芝居をしてますけど、こういう千秋楽の迎え方は初めてです」(うろ覚えです)と、戸惑い、憤懣やる方なさそうな挨拶。そこで初めて、まだ残り5日あるはずの公演の中止が、急遽決定したことを知った。きっとこの日は東京中の劇場で、似たような光景が展開していたことだろう。
2月26日の首相の自粛要請を受け、文化庁所管の国立劇場や新国立劇場は、文科省からの指示で、ただちに公演の中止・延期を決定。同日、偶然にも定期会合を行っていたという日本演劇興行協会(松竹、東宝など商業系劇場を運営する事業者の集まり)の一同のもとにも情報が入り、協会員の運営下にある新橋演舞場、日生劇場、帝国劇場、シアタークリエなどでの公演の中止が、一斉に決まった。この動きに他の劇場が追随する形で、一夜のうちに、各所で怒濤の公演中止騒動が勃発した。27日に初日を迎えるはずだった『お勢、断行』(シアタートラム)などは、作品を一度も観客の目に触れさせることなく、ゲネプロ(本番同様に行う舞台稽古)をして全行程を終えるという、非情な運命を甘受させられることとなった。作・演出の倉持裕は、この時の想いをこう記している。
「作った芝居を誰にも見せずに終わらせるということは、その芝居を殺すのと同じことだ。我々は苦労して生み出した芝居を世に出さず、育てず、生まれた途端に自分たちで殺してしまった。」(朝日新聞デジタル版 有料記事2020.04.09 https://digital.asahi.com/articles/DA3S14436327.html#)
一方、2月23日までに来日していたパリ・オペラ座バレエ団は、前年12月から地元フランスでストライキを決行中で、ダンサー達が踊る機会を失っていたこともあり、日本での公演をより強く熱望。招聘元のNBSは、徹底した感染予防対策を行って、2月27日から3月8日までの全公演を予定通り実施した。3月6日の東京文化会館。入場前に手指の消毒と検温を済ませ、マスクを手に持っていたら、装着してから入場するようにと張り詰めた空気の中で注意を受け、焦ったことを思い出す。その後は、ごく当たり前になってゆくルールだが、感染予防のために観客としてマスク着用を厳しく促されたのは、この時が初めてだった気がする。(ND)

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