BROADWAY IS BACK!  第2回 TKTS編 公式割引チケット売り場の異変

REPORT【2021.10.27】

2021年9月後半から10月初頭、ブロードウェイが18か月ぶりに再開した直後のニューヨークに行ってきました。出入国、チケット購入、劇場の対応など、ウイズ・コロナ時代に入って初めて体験したことを書き留めておきます。事実誤認がありましたら、ぜひご指摘ください。(ND)

第2回 TKTS編:公式割引チケット売り場の異変

9月14日のブロードウェイ正式再開にともない、当日と翌日マチネ対象の公式割引チケット売場TKTSも、同日に再開した。近年はTodayTixなどデジタル系の割引チケット・サービスが増えて、わざわざTKTSに並びに行く機会は減っていたけれど、なにせまだ上演されている作品数自体が少なく、オープン時間直後以外は空いていて寂しげなので、今回は積極的に利用してみた。

購入にあたっての変更点は、外に立っているスタッフに用紙と鉛筆を渡され、①フルネーム、②携帯電話番号、③Eメールアドレスを記入してから、窓口に進むという手続きが増えたこと。実際には、①③だけ記入し②は空欄のまま渡したが、問題はなかった。日本の劇場でも、1回目の緊急事態宣言明けから連絡先の登録を求められることが多くなったので、感染者が出た際の情報提供・把握のためかと思ったが、理由はそれだけではないようだ(後述)。

↑TKTSブースに行くと鉛筆とともにこの用紙を渡される


↑窓口には、ワクチン接種や陰性証明、劇場内でのマスク着用義務などの注意書きが貼り出されているが、購入にあたっては証明類の提出は求められない

驚いたのは、購入時のクレジットカード処理。カードを渡すと、なんとその場で暗証番号を窓口スタッフに伝えるよう指示された。クレジットカードの暗証番号は他人に教えてはいけないと信じているので、一瞬何を言われているのか理解できなかったが、こちらが渡したカードでは、そうする以外に決済の方法が無いという。もちろん、今までTKTSでこんな経験をしたことは無かった。非常に抵抗を感じつつも、現金の持ち合わせも無いのでしかたなく、渡された紙切れに暗証番号を書いて渡した。決済が終わると、窓口スタッフは暗証番号が書かれた紙切れを、こちらに見えるように細かく切り裂き棄てるパフォーマンスをしてみせた。そのリアクションとして思わずサムズアップしてしまったけど、いやいや、「いいね」して済む話ではないだろう。

と思いつつ今回、TKTSでは計4回クレジットカードでチケットを購入したのだが、実はうち3回で同じことがあった。日本で使う際には、暗証番号入力ではなくサインで済ませているカードを出した際にも、サインではなく暗証番号を伝えることを求められたので、個人のカードではなく、TKTSのカード処理システムの問題ではないかと疑念が湧いた。

そこで、TKTSを運営する非営利団体TDF(Theatre Development Fund)にメールで問い合わせてみた。翌日、ていねいな謝罪とともに「これは新しいチケット販売システムを導入したいくつかの作品について起きている問題で、早急に解決すべく、該当する劇場主と協議中です」という内容の返信がきた。要は、一部劇場主がチケット販売システムを変更したために、TKTSのシステムに支障が生じて、購入者にクレジットカードの暗証番号を直接聞かざるを得ない状況になっている、という説明=言い訳だ。特に気になるのは、それが「いくつかの作品」に限定されている点。具体的にどの作品なのかが明確にならないと困るので、思い当たる劇場主と作品を示して「もしやこの4作品じゃありませんか?」と返信してみたら、30分と経たないうちに「ご明察」という返信がきた(!)。その4作品とは、
①『アメリカン・ユートピア』(セント・ジェームズ劇場)
②『パス・オーバー』(オーガスト・ウイルソン劇場)※10月21日に公演終了
③『ムーラン・ルージュ!』(アル・ヒルシュフェルト劇場)
④『ヘイディーズタウン』(ウォルター・カー劇場)
であり、さらに11月5日に再開する
⑤『ブック・オブ・モルモン』(ユージン・オニール劇場)
も加わるとのこと。

この5作品の上演劇場は、ブロードウェイの三大劇場主のひとつ、ジュジャミソン・シアターズによって運営されている。ジュジャミソンは今年の劇場再開を前に、チケット販売のパートナーをチケットマスター社から、ブロードウェイ初参入のシートギーク社に乗り換えた。これによって、劇場ボックスオフィスでのチケット購入にも変更が生じ、今回少なからず面食らったので、これについては次回「ボックスオフィス編」で詳報したい。

なおTDFの返信によると、暗証番号を告げなければ決済できない状況は、すべてのカードで起きている訳では無いとのこと。もちろん起きているケースについては早期の解決が望まれるところで、解決したらすぐにメールで知らせる、との回答だった。以来、該当クレジットカードの明細を入念にチェックするようにしている。

ということで、今回のまとめ。
● 2021年9月14日に再開したTKTSブース(タイムズスクエア)では、購入時に氏名・携帯電話番号・Eメールアドレスの記入・提出が必要(携帯電話番号は無記入にしたが問題なかった)。
●同所においてクレジットカードで購入する場合、下記の5作品については、暗証番号を窓口スタッフに告げなければ決済できない場合が生じており、改善が検討されている。
①『アメリカン・ユートピア』(セント・ジェームズ劇場)
②『パス・オーバー』(オーガスト・ウイルソン劇場)※10月21日に公演終了
③『ムーラン・ルージュ!』(アル・ヒルシュフェルト劇場)
④『ヘイディーズタウン』(ウォルター・カー劇場)
⑤『ブック・オブ・モルモン』(ユージン・オニール劇場)※11月5日に開幕

このTDFとのメールのやり取りから、そろそろ1か月が経とうとしている。連絡があり次第ここに追記したいので、もうしばらく待ってみようと思う。(ND)

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