ロンドンの小劇場がコロナ禍の家賃滞納で資金調達 (LONDON)

ロンドン南部のサザックにあるユニオン劇場

OUTLINE【2023.05.22】

 

2023年4月、ロンドン南部のサザックにある小劇場、ユニオン劇場(Union Theatre)が、12万ポンドの負債を抱え、資金調達を開始したというニュースが報じられた。ユニオン劇場は、オールド・ヴィック(Old Vic)やヤング・ヴィック(Young Vic)といった、日本の演劇ファンにもお馴染みの劇場からほど近い、客席数100以下の小劇場。新旧のミュージカルを中心に手掛け、ロンドンのミュージカル・ファンたちに親しまれている。

同劇場は、鉄道の高架下にレストランや劇場が並ぶオールド・ユニオン・ヤード・アーチズ(Old Union Yard Arches)の一角に位置している。再開発により洒脱に生まれ変わったエリアで、2016年にすぐそばにある年代ものの建物から移転した。

下記リンクの記事によると、同劇場の設立者にして芸術監督であるサシャ・レーガン(Sasha Regan)は、家賃に加え、生活費危機により諸々の出費がかさんでいると発言。また、滞納している家賃は、すべてコロナ禍で劇場を閉鎖していた期間のものだと語った。

一方、同劇場を所有するジ・アーチ・カンパニー(The Arch Company)のスポークスパーソンは、コロナ禍で最も事態が深刻だった時期には、同劇場を支援するために4カ月分の家賃を免除し、滞納分を月払いにする返済プランにも同意していると説明。今後も同劇場と共に解決法を探っていくとしている。

この記事を読む限りでは、劇場側とオーナー側で対立している様子は感じられず、良い方向へ進めるように双方が模索しているように見受けられる。しかし、コロナ禍による劇場閉鎖後の生活費危機はまさに深刻な追い打ちで、すぐに状況が好転するとも考えにくい。同劇場としては、資金調達に活路を見出す以外にないというところではないか。ロンドンにはほかにも、かつては家賃が比較的安かったが現在は高騰しているエリアに拠点を置く小劇場がいくつもある。コロナ禍の負の遺産と生活費危機という二重の痛手は、今後もこうした劇場を苦しめることになるだろう。ウエストエンドに比べ、格段に安価なチケット料金で観劇することができ、演劇ファンや地元民が集う場所にもなっているこれらの劇場は、ロンドンの演劇の多様性を支えている。生活費危機は当然のことながら劇場だけでなく市民にも大きな影響を及ぼしており、出費を抑える必要のある一般の演劇ファンたちにとっては、ありがたい存在だ。閉場や郊外などへの移転に追い込まれることなく、運営が続けられるよう願うばかりである。

https://www.bbc.com/news/uk-england-london-65154359

 

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